ニューロン新生の分子基盤と精神機能への影響の解明 CREST 「脳と学習」領域 大隅プロジェクト

第28回 日本神経科学大会

2005年7月27日に第28回日本神経科学大会において岡野ジェームス洋尚博士(慶應義塾大学医学部生理学教室)と山口正洋博士(東京大学大学院医学系研究科細胞分子生理学講座)主催のシンポジウム「成体脳で起こる神経新生:分子基盤と機能的意義」が開催されました。そのなかで本プロジェクトのリーダーである大隅が「生後脳における神経新生と感覚運動ゲート機構」という演題で講演を行いました。

趣旨:
Pax6は胎生期の脳形成に関わる転写因子の一つですが、生後脳海馬などの神経新生が起こる領域でも発現しています。ラットのPax6ヘテロ変異体の海馬では神経新生が低下し、またこの変異体ラットは攻撃性の増加や社会活動性の低下などの行動異常や、感覚運動ゲート機構を示すプレパルス抑制(PPI)の低下を示します。PPIの低下は若い時期に細胞増殖阻害薬を投与して神経新生を阻害したラットでも見られます。従ってこれらの結果はPax6が生後脳の神経新生に重要な役割を担っており、また神経新生と行動異常との間に因果関係があることを示唆しています。今後、我々はPax6がどのようにして生後脳の神経新生を制御しているのかを明らかにすることにより、神経新生と精神発達・行動との関係に迫りたいと考えています。

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