ニューロン新生の分子基盤と精神機能への影響の解明 CREST 「脳と学習」領域 大隅プロジェクト

第28回 日本神経科学大会

2005年7月25日に第28回日本神経科学大会においてメンバーの井ノ口馨博士がシンポジウム「神経シナプス可逆性を変化させる脳内性ホルモンと環境ホルモン:神経内分泌学の革新」を開催しました。

趣旨:
  7月25日に「神経シナプス可塑性を変化させる脳内性ホルモンと環境ホルモン:神経内分泌学の革新」と題するシンポジウムを開催した。台風の接近が報じられる中、多くの聴衆が会場に集まった。

多くの人は、性ホルモンはもちろん生殖腺でのみ合成されると考えている。ところが本シンポジウムで、エストロジェンやアクチビンなどの性ホルモンが脳内のニューロンでも合成されていることが明らにされ、これらの性ホルモンが脳機能に重要なシナプス可塑性やニューロンの形態、さらにはニューロンの新生を調節しているという新しい考え方が提唱された。学習や記憶の成立にこれら性ホルモンが重要な役割を果たしているのである。また、多くの環境ホルモンは性ホルモンと類似の作用を持ち、ある種の環境ホルモンは脳の形成や脳の高次機能に影響を与えるが、その作用機構が性ホルモンと類似していることも提唱された。

このように性ホルモンは性に関することのみを決めているのではなく、時と場合によっては、学習や記憶などの我々の脳機能に直接関わっている。生物は実に巧妙に一つの分子に様々な役割を担わせているのである。

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