ニューロン新生の分子基盤と精神機能への影響の解明 CREST 「脳と学習」領域 大隅プロジェクト

第82回 日本生理学会大会

2005年5月19日に第82回日本生理学会大会においてメンバーの真鍋俊也博士がシンポジウムを開催しました。

趣旨:
単量体型Gタンパク(Ras, Rho, Rab, Arf等)はその上流に位置するGEFやGAPによりスイッチングされ、効果器分子であるリン酸化酵素等の活性を制御する。また、GEFやGAPの活性は、膜の受容体型チロシンキナーゼ等種々の受容体による調節を受ける。これまで単量体型Gタンパクは細胞の増殖や分化、細胞運動や形態変化、物質輸送や分泌等で重要な働きをしていると認識されてきた。しかし最近この様な働きに加えて、種々の組織でイオンチャネル開閉の調節を行うことが報告されている。

例えば上皮細胞等ではCl-チャネルやNa+チャネル、神経細胞ではNMDA受容体チャネルやGABA受容体チャネル、培養細胞では電圧依存性Ca2+チャネルやNa+チャネル、また培養細胞に発現させたK+チャネルや電圧依存性Ca2+チャネル等で報告されている。これらのチャネルの調節機構として単量体型Gタンパクの下流で種々のリン酸化酵素が活性化され、その結果イオンチャネルタンパクが直接リン酸化される場合や、チャネルタンパクを結合する分子や輸送する分子のリン酸化による修飾や細胞骨格を形成する分子等の再編が行われる為にこの様な調節作用が発現すると推論されている。ただし、effector分子が未同定の系もあり、詳しい分子機構についてはまだ不明の点が多い。

しかしながら関わっているイオンチャネルや受容体・Gタンパク並びに分布する組織が多種類にまたがることからその働きの重要性が推察される。本シンポジュウムでは現在までにわかっている分子機構と生物学的役割をoverviewし、今後の研究の進展のperspectiveを得たい。

シンポジウム サイト

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